日本経済の成長·発展と産業間格差
第一節 はじめに
日本経済の成長を論じるとき、戦後の期間をいくつかに分けて議論することが役に立つ。それは発展段階で発生した出来事、エピソードーと関連があるからである。1973~1983年期間は1973年と1979年の2回のオイルショックにより、高度成長に歯止めをかけられたこと、1983~1991年期間はバブル経済期間、1991~1998年期間はバブル経済の崩壊の後の低迷,Stagnation期間として特徴づけることができる。
少し詳しくみると、20世紀60年代から70年代初めにかけて日本経済は10%前後の成長が続き,高度成長を謳歌していたが,1973年10月に第4次中東戦争が勃発し,原油価格が4倍強に上昇するなどの出来事がおこった第1次石油危機をきっかけに日本経済の高度成長に終止符を打つことになった。成長率は,1974年にマイナスに転じ,それ以降,成長率は大幅に低下することになる。それでも1978,1979年には成長率を5%台にまで戻るなど安定成長の軌道に乗るかに見えたものの、1979年初めからのイラン革命を契機に原油価格が再び高騰し,1979年から1980年にかけて原油価格は2倍以上にはね上がった。「第2次石油危機」のために、再び成長率を押し下げる結果となり,1980年から1983年にかけて日本経済の成長率は2%から3%の間で低成長率を推移することになった。
1986年後半から1991年初めにかけて,株価や地価といった資産価格の高騰を特徴とする「平成景気」により、日本経済の成長率も1988年には6.2%と第1次石油危機以降,初めて6%台に乗った