国と地方の役割分担をめぐる問題は極めて難しく、敗戦直後から様々な議論がなされてきた。制度的には「対等」であっても地方自治体は国家に包含される上、わが国では長い歴史の中で育まれた中央集権的な行政形態が常態化したためである。しかし今日、地方分権は「平成の大合併」の推進及び道州制の導入論議と相俟って、内容は別として実行の本格的段階に入りつつある。
本章では自民党、公明党連立政権から民主党を中心とする政権交代期における過渡期の国と地方の役割分担を中心に地方分権の進捗状況を把握し、国と地方の財政状況分析を通して改革の道筋を検討する。また、「二重行政」に係る問題として地方支分部局の縮小、廃止等に関する問題を扱う。最後に「平成の大合併」及び道州制導入論議に関する若干の検証を行うが、これ等の中で筆者の主張を述べたいと思う。